世界的な基準を満たす飼育展示施設〜札幌市円山動物園 ホッキョクグマ・アザラシ館新築工事〜

2018年6月12日

世界的な施設基準を満たす施設

本施設は、世界的な施設基準(マニトバ基準)を満たす飼育展示施設を建設して「ホッキョクグマの繁殖基地」にするとともに、ホッキョクグマとアザラシの生き生きとした姿を観覧することで感動を与え、観覧者がホッキョクグマを脅かす地球環境問題についても考えるきっかけとなるような施設を目指しています。

マニトバ基準…カナダのマニトバ州の「ホッキョクグマ保護法」で定められたホッキョクグマ保護規定。 
 

   白い低層の施設は「円」をモチーフとし、夏季には豊かな緑に、冬季には雪化粧に包まれます。
飼育エリアは環境エンリッチメントに配慮して、さまざまな工夫が施されています。広い屋外放飼場、流れる水、日陰をつくるほら穴や立ち木、深いプールなど生息地であるハドソン湾をイメージした環境を整え、飼育・繁殖・子育てに適した施設となっています。


 捕食・被食関係にあるホッキョクグマとアザラシが併設展示され、水中トンネルでは、アクリル板で隔てられた隣のプールいるアザラシを追い掛ける水中でのホッキョクグマの姿を間近で観覧することができます。


 

複雑な構造の施設

   模型を制作することで、広い敷地に複雑な構造の施設全体をイメージしました。
ホッキョクグマ
アザラシ館は、複数の施設を一体化した複雑な建物で、曲線もふんだんに取り入れ、高低差も8mとなっています。
模型によりある程度のイメージをつかみ、建物の位置出しには3次元管理で行いました。建築建物は、一般にFL管理を行うことが多いのですが、土木的な管理の3次元管理が必要でした。


擬岩工事

   擬岩工事は、ケミカルアンカー、鋼材、造形鉄筋を使用して、モルタル下地に塗装して仕上げています。没水部や荷重が掛かる箇所については、擬岩内部にコンクリートを充填しています。自然な岩の形状とするため、現地の岩質に合うように最終処理を施しています。
 


水中トンネル 

   ホッキョクグマとアザラシを同時に観覧できる水中トンネルに使用したアクリルパネルは、耐候性、加工性に優れているアクリライトSを使用しています。
無収縮グラウトは強度発現性と耐久性を有するマスターフロー870グラウトを使用しています。

 


 

 終わりに

動物園という特殊な工事を請け、初めはどうしたものか悩んだこともありました。土木工事と建築工事が融合した物件であり、ひとつずつ問題を解決しながら工事を進め、無事に引き渡すことができました。
この激務を乗り越えた職員の努力と取引業者様の責任感に感謝いたします。 
是非、ホッキョクグマ・アザラシ館にご家族と一緒にお越しいただきたいと思います。【増井 伸幸】

工事進捗






模型との対比

模 型(西側)



模型(水中トンネル)


模型(アザラシプール)

模型(北側)


模型(南側)


模型(東側)