~都市土木におけるICT活用(北一条発電機室設置工事)~

2021年6月30日

1.はじめに
 本工事は、一般国道230号札幌市において、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策として、国道36号札幌駅前地下歩行空間及び国道230号北一条地下駐車場通路の無停電設備に必要な地下発電機室を設置する工事です。
 地下発電機室設置場所は、北1条西6丁目~7丁目の中央分離帯の直下(深さ12m)で営業中の地下駐車場とその出入庫口の通路にコの字に囲まれた中になります。市街地であるため地下埋設物が輻輳し、日中の交通量が上下線各1,400台/時間と非常に多く、道路規制条件や狭小な施工ヤード内での施工、厳しい工期内での別途工事との工程調整等、様々な課題に対してICTを活用し施工を行いました。

2.工事概要
工事名:一般国道230号札幌市北一条地下発電機室設置工事
発注者:北海道開発局 札幌開発建設部
工事内容:工事延長L=500m
     1)作業土工 開削土工 V=2,500m3 埋め戻し工 V=210m3
     2)仮設工 土留め工(親杭横矢板方式)一式 地盤改良孔(薬液注入工)一式 
           路面覆工A=312m2
     3)躯体工 コンクリートV=550m3 鉄筋工W=100t
     別途工事 設備工事、建築工事、頂部埋戻し、舗装復旧



施工状況

埋設物試掘


路面覆工

既設下水管・マンホール吊防護
 

杭打ち状況

掘削状況
 

薬液注入

防水工
 

鉄筋組立

コンクリート打設
 

躯体完了

換気塔設置完了



完了
 

3.ICT活用

-1.交通シミュレーションによる車線規制の検討

 国道230号線の中央での作業となることから、車線規制による混雑状況を交通シミュレーションで再現検証し、現地で実証確認を行いました。
 
その結果を反映し、右折レーンも施工ヤードとし昼間規制は片側2車線、夜間規制は片側1車線を確保して施工しました。


【交通シミュレーション】

規制前

右折レーン規制後
動画はこちらへ

【交通規制状況】

昼間規制

夜間規制


-2.3次元データの活用
 
地下駐車場内と工事周辺の地上部をレーザースキャナにて点群データを取得し、仮設工、埋設物、地下発電機室躯体等の3次元モデルと統合し、図面の整合性や躯体構築時の干渉確認、復旧計画等に活用しました。

埋設物および仮設工の干渉確認


鉄筋との干渉確認

 



既設スロープと躯体開口部の納まり確認

中央分離帯と換気塔の干渉確認


3-3.通信環境の整備、遠隔臨場、遠隔監視
 地下工事における通信環境を整備するためWi-Fi環境を構築し、無線によるアクセスポイントを設置しました。社内検査や工場検査等に、音声コマンド型ウェアラブルカメラ等を使用して遠隔臨場を行いました。
 
また、現場内の地上と地下にWEBカメラを設置し、アイパッドや携帯端末等で遠隔監視を行い、安全管理に活用しました。

遠隔臨場による検査状況


WEBカメラによる監視状況


4.おわりに

レーザースキャナや3Dモデルを使用して施工計画を具体的にたてることで、発注者や警察及び下請との合意形成がスムーズで、手戻りやロスなく施工でき、測量業務33%程度、設計照査25%程度の作業効率化を図ることができました。
 
ICTを活用し詳細な施工計画を立案し、工事関係者全員で取り組み、無事故無災害で工事を完成することができました。