地中を更新し、都市の未来をつなぐ ~環4高輪地区基礎杭撤去工事~

2026年4月24日

工事概要

工事名称:環4高輪地区基礎杭撤去工事(6高輪-1)
工事場所:東京都港区高輪三丁目地内
工 期 :令和6年12月19日~令和8年2月4日
発注者 :東京都都市整備局

工事概要

・土工(施工基面整形)     5,551m2
・表層安定処理工        4,967m2
・構造物撤去工          一式
・基礎杭撤去工
  既存杭引抜(場所打杭)
  φ800㎜  42本(平均杭長31.20m)
  φ1,100㎜  17本(平均杭長32.16m)
  φ1,300㎜  73本(平均杭長31.31m)
  φ1,600㎜  1本(杭長31.20m)
・運搬処理工
  有筋コンクリート廃材運搬処分    4,250m3
  建設泥土運搬処分           10,676m3
  廃プラスチック運搬処分             0.54m3
・仮設工             一式 

今回の工事で特徴的な部分や建物の紹介

 今回の工事は、東京都港区で進められている環状4号線の新設工事に関連し、旧議員宿舎の基礎杭(場所打ち杭)を引抜撤去し、その後、地山強度程度の固さとなるようセメントベントナイトで埋戻すものです。
 杭の引抜きにはPG工法(パワーチャッキング工法)を採用しました。この工法は、地中に残置されている杭に削孔しながらケーシングを被せ、先端部まで到達した段階で杭をチャッキング(ケーシング内に内包)し、引き上げと同時にセメントベントナイト液で埋戻しを行うものです。杭径φ1,300mmの場合、杭自体の重量だけで約100tに達するため、大型の杭抜機で巻き上げます。
また、杭長が約32mあるため、ケーシングを3~4分割しながら引き上げ、内包したコンクリート杭を1.2m³級バックホウに装着したコンクリート破砕機で切断し、いわゆる“ダルマ落とし”の要領でケーシング内から順次取り出していきます。
 

【PG工法】切断状況
 

【PG工法】引抜杭破砕出し状況


 
 


施工や安全管理で工夫したこと

 本工事では、2台の杭抜機を用いて施工を行いました。杭引抜き後はセメントベントナイトミルクで埋戻しを行いますが、強度が発現するまでの間は地盤が脆弱となるため、機械の配置計画や杭の引抜き順序を事前に十分検討しました。
 また、施工地盤の表層改良を実施し、施工基面の支持力を確保することで、大型杭打機等の重機が稼働する際の転倒災害防止に努めました。さらに、施工中は地盤状況の変化を随時確認し、安全性を確保するための対応を適切に行うなど、安全性を最優先とした管理を徹底しました。
 

施工状況全景(ドローンスナップ)
 

【PG工法】杭抜施工状況


ここが一番難しかった、苦労したこと

 削孔および注入作業では大量の汚泥が発生し、今回は想定の約1.4倍となる14,000㎥を処理する必要がありました。ほぼ毎日120㎥を搬出し、延べ20台/日の車両を手配する状況でした。また、コンクリート殻の搬出も約10,000tに及び、こちらも毎日50t、延べ6台/日の車両が出入りしました。さらに、セメントやベントナイトなどの材料搬入も重なり、現場の搬出入作業は常に混雑していました。しかし、出入口ゲートが1か所しかなく、前面道路は交通量が多く通学路でもあったため、車両の出入りには細心の注意を払いました。
 こうした状況下で、安全確保を最優先とするため、昼休みを含め常時2名以上の交通誘導員を配置し、録画機能付き監視カメラで動線管理を徹底しました。その結果、膨大な搬出入作業の中でも安全に工程を進めることができました。


DXへの取り組み

 PG工法は、削孔深度や注入量、引抜速度といった主要な施工管理項目を、杭打機の運転席に設置されたパソコン画面でリアルタイムに確認・管理できる工法です。これらのデータは現場だけでなくWeb上からも即時に確認できる体制が整っており、遠隔地からでも施工状況を把握できます。そのため、作業の見える化や品質管理向上に大きく寄与しました。
 また、防犯対策としてAIカメラを設置し、侵入者を感知すると警告音を発報するとともに、指定したアドレスへ自動的にメールを送信する機器を導入しました。これにより、夜間や無人時でも現場の状況を把握でき、常に安定した防犯体制を維持することが可能となり、安心して施工を進められる環境づくりに貢献しました。
 

杭撤去計画(3Dモデル)


働き方改革への取り組み

 働き方改革への取り組みとして、まず毎月の残業時間を「見える化」し、職員が自分の労働時間を把握し、日々の働き方を意識できるようにしました。これにより、業務の偏りや繁忙期の傾向も把握しやすくなり、チーム内での業務調整にも役立ちました。また、通勤による負担を軽減するため、電動自転車で通える範囲に宿舎を確保し、移動時間の短縮を図りました。通勤負担が軽減されたことで、業務開始時のコンディションも向上しました。
 こうした取り組みにより、長時間労働の抑制だけでなく、帰宅後の時間にゆとりが生まれ、より働きやすい環境づくりを着実に進めることができたと感じています。


関係者への感謝の言葉、若手社員へのメッセージ

 東京の猛暑の夏を含む約1年2ヶ月にわたる作業でしたが、協力業者の皆様にも会社として、また個人として様々な工夫をしていただき、私たちも可能な限りの対策を講じながら、熱中症者を出すことなく無事故で工事を完了できました。この結果を大変うれしく思うとともに、ご協力いただいた皆様方に深く感謝申し上げます。
 今回の工事は、構造物を新たに作るのではなく撤去を主体とした工事でしたが、限られたヤードでの大型重機の運用や、都市部特有の制約に配慮しながら進める点等、多くの学びがありました。所長以外の職員は全員20代の若手であり、今回の経験が今後の業務に必ず生かされ、次のステップにつながることを期待しています。