南海トラフ巨大地震による津波浸水災害から道路と地域住民を守る道づくり~すさみ串本道路宇の平見地区整備工事~

2026年9月18日


工事概要                             

工  事   名:すさみ串本道路宇の平見地区整備工事
工事場所:和歌山県西牟婁郡すさみ町里野地内
工      期:令和7年3月11日~令和8年7月31日
発  注  者:国土交通省近畿地方整備局

工事内容

道路土工:掘削工(ICT) 11,000m3 路体盛土工 1,600m3 路体盛土工(ICT) 220m3  法面整形工(切土部)(ICT) 1,450㎡
地盤改良工:路床安定処理工 463㎡
法面工:植生マット 1,230㎡ 鉄筋挿入工 141本 コンクリート吹付 245㎡
擁壁工:場所打擁壁工 3号11m3 2号11m3 5号17m3 帯鋼補強土壁・アンカー補強
土壁工 1号173㎡ 2号582㎡ 3号28㎡ 
プレキャスト防護柵基礎設置 97m ジオテキスタイル補強土壁 126㎡ 
坑口壁工(1号)192㎡ 坑口壁工(2号)191㎡
排水構造物工:側溝工 1式 管渠工 1式 集水桝・マンホール工 1式 排水工 1式
舗装工:迂回路舗装工 755㎡ 路床安定処理工 331㎡
防護柵工:ガードレール Gr-C-4E L=7m  Gr-C-2B L=214m  Gr-C-2E L=117m  落下物防止柵 L=117m
落石防護柵工:高エネルギー吸収型落石防護柵 L=94.3m
構造物撤去工:コンクリート舗装版破砕 1,170㎡ 袋詰玉石撤去 1,276袋 吸出し防止材撤去 1,460㎡
仮設工:工事用道路工 1式 粉塵防止工 1式 運搬処理工 1式 枕土のう設置工 1式 交通管理工 1式

はじめに

 一般国道42号すさみ串本道路は、近畿自動車道紀勢線(田辺~すさみ)と連続し、紀伊半島沿岸部において大阪府と和歌山県南部地域を結ぶ広域道路ネットワークの一部を構成する、和歌山県東牟婁郡串本町サンゴ台から同県西牟婁郡すさみ町江住に至る延長19.2kmの自動車専用道路です。
 同道路は、国道42号の和歌山県東牟婁郡串本町から西牟婁郡すさみ町間における異常気象時通行規制区間の解消、防災・災害時の代替路確保等を主な目的として整備が進められています。
本工事は、すさみ串本道路の建設に伴い、既存側道の機能回復を図るため、付替道路を新設するものです。

 今回の工事で特徴的な部分や建物の紹介

 今回施工したすさみ串本道路本線部に隣接する側道は、上流に位置する養豚場へ通じる唯一の管理用道路であり、養豚場の管理のため年間を通じて利用されていることから、通行止めにすることができない状況でした。
 そのため、仮設切回し道路工、法面対策工、排水構造物工、舗装工の施工にあたっては、終始通行を確保しながら施工を進める必要がありました。
 また、新設道路は、その大部分が両側を補強土壁で構成した幅員4mのコンクリート舗装道路であり、最大縦断勾配18%という急勾配区間を有する特殊な道路構造となっています。

 縦断勾配18%のコンクリート舗装道路

 仮設切回し道路

施工や安全管理で工夫したこと

 法面対策工の鉄筋挿入工では、側道の通行を確保する必要があったため、通常採用される足場設置工法ではなく無足場工法を採用しました。これにより、通行機能を維持しながら施工を進めるとともに、足場設置・撤去工程の削減を図りました。
 また、坑口壁の施工においては、本線内を他工事車両が頻繁に往来していたことから、足場に開口部を設けることで車両通行を確保し、安全な施工と円滑な交通の両立を図りました。さらに、関係工事との綿密な施工調整を行い、作業員と車両双方の安全確保に努めました。

 坑口壁足場開口
 

 法面対策工(無足場工法)

本工事における主な課題とその対応について

 本工事は、本線切土工事に先立って完成させる必要があり、受注当初から工程短縮が求められていました。そのため、工期を約1か月短縮することを目標に、施工方法の見直しや工程調整を行いました。
 具体的には、防護柵基礎工について、当初計画されていた現場打ちコンクリート施工からプレキャスト基礎ブロックへ変更し、施工期間の短縮を図りました。
 また、切土部法面工の鉄筋挿入では、急勾配法面における足場の設置・撤去に要する工程を短縮するため、スカイドリル(SD)工法を採用し、施工の効率化を図りました。

 鉄筋挿入(スカイドリル工法)

 補強土壁(ジオテキスタイル)

 補強土壁(テールアルメ)盛土・転圧

 補強土壁(テールアルメ)帯鋼敷設

 坑口壁補強土壁(テラトレール)

 法面対策工・舗装工完成

 防護柵基礎ブロック

 落石防護柵工完成

DXへの取り組み

 本工事では、道路土工においてICT施工が適用されました。施工計画書提出後に3次元測量を実施し、作成したデータを施工機械へ搭載することで、切土・盛土作業を行いました。
 また、3次元出来形管理においても所定の基準を満足する成果が得られ、従来必要であった丁張り作業を大幅に削減できることから、省力化および生産性向上に大きく寄与する施工方法であることを改めて実感しました。
BIM/CIMについては、特記仕様書に基づき、「3次元モデル上で施工手順等を区分し、施工範囲の明確化や進捗管理等に活用する」ことが求められていたため、施工パターンを10種類に区分した3次元モデルを作成し、進捗管理等に活用しました。
 今回、ICT施工およびBIM/CIM関連業務は外部委託により実施しましたが、今後の国土交通省工事では、これらの活用がさらに拡大すると見込まれることから、自社で対応できる人材育成を進めることで将来的な工事コストの削減にもつながるものと考えています。

働き方改革への取り組み

 週休2日への対応については、本工事において工程短縮が求められたため、発注者との協議のもと、5月および6月に土曜日作業を実施し、その代わりとして7月に同日数の振替休日を取得する運用としました。
 また、現場職員が交代で休暇を取得できる体制を整え、業務の分担や情報共有を徹底することで、時間外労働を抑えながら現場運営を行いました。
その結果、工程遵守と休暇取得を両立し、働きやすい職場環境づくりにつなげることができました。

関係者への感謝の言葉、若手社員へのメッセージ

 約1年半にわたる工期を無事故・無災害で完了することができたのは、発注者をはじめ、地元関係者の皆様、協力会社の皆様、そして工事に携わったすべての方々のご支援とご協力の賜物です。この場をお借りして、心より感謝申し上げます。
 本工事には、入社1年目と5年目の若手職員2名が配属され、日々熱心に現場管理業務に取り組みました。初めて経験する工種については苦慮する場面もありましたが、一つ一つ着実に習得しながら成長してくれました。
両名とも工事着手から完成までほぼ一貫して本現場に従事しており、国土交通省発注工事を経験できたことは非常に貴重な財産になったものと思います。
 今回の経験を今後の業務に生かし、さらなる知識と技術の習得に努め、将来の当社を担う技術者として成長してくれることを期待しています。