2026年10月26日

工事概要
工 事 名:Moxy Niseko Village Project工事場所:虻田郡ニセコ町字曽我919番29
工 期:令和6年 3月26日 ~ 令和8年7月31日
発 注 者:スターヒル・リート・ニセコ合同会社
設 計:waiwai合同会社一級建築士事務所
監 理:岩田地崎建設㈱一級建築士事務所
施 工:岩田地崎建設株式会社
用 途:ホテル(主に客室310室、ラウンジ、ダイニング、ジム、BOH)
構 造:S造+RC造 地下2階 地上5階
敷地面積:5,626.10㎡
建築面積:2,156.79㎡
延べ床面積:10,361.76㎡
最高高さ:14.93m

はじめに
当工事は、ニセコ東山地区のニセコビレッジ敷地内に新築されたリゾートホテル「MOXY NISEKO VILLAGE」の建設工事です。
MOXYブランドのホテルは、マリオット・インターナショナルが展開するライフスタイル型ホテルブランドであり、MOXY NISEKO VILLAGEは日本国内で5番目となるMOXYブランドのホテルです。運営はニセコビレッジ株式会社が行っており、周辺にはスキー場やゴルフ場をはじめ、多彩なアクティビティ施設が整備されています。また、ニセコビレッジ株式会社は、マレーシアを代表するコングロマリットの一つであるYTLコーポレーション傘下の企業です。
「MOXY」は、「元気」や「活力」を意味する英語に由来するブランド名であり、活気に満ちた空間づくりをブランドコンセプトとしています。世界各地のMOXYブランドのホテルでは、単なる宿泊施設ではなく、ゲストが滞在そのものを楽しめる体験型ホテルとして展開されており、本施設にもそのブランドイメージが随所に反映されています。

令和6年6月3日(施工開始)

令和8年8月3日(完成)
今回の工事で特徴的な部分や建物の紹介
正面エントランスから館内に入ると、中央にロの字型のフロントカウンターが配置され、その両側にラウンジ空間が広がります。一般的なホテルフロントとは異なり、チェックイン機能に加えてバーカウンターの役割も備えているため、ゲストがドリンクを楽しみながらくつろげる空間となっています。
1階共用部には、ダイニングやジム(GYM)など、宿泊者が気軽に利用できる施設が設けられています。館内にはカラフルなサインやディスプレー、家具が配置されており、天井はスケルトンを主体とした黒色塗装仕上げとすることで、開放感のある空間を演出しています。さらに、装飾品や照明にも鮮やかな色彩を取り入れ、MOXYらしい遊び心のある印象的なデザインを実現しています。
客室は全310室を備え、室内は機能性と快適性を重視したシンプルでスマートな空間となっています。
また、外壁は3つの色彩ゾーンに区分し、グラデーションによるアクセントを加えることで、建物全体に変化と個性をもたせたデザインとすることで、建物全体に豊かな表情を与えています。

完成パース

完成写真

完成パース

完成写真
施工や安全管理で工夫したこと
敷地は高低差のある階段状地形となっていたため、施工範囲を複数の工区に分けるとともに、各工区へ直接アクセスできるよう正面道路側に5か所のゲートを設置しました。しかし、敷地ごとの高低差により横方向の移動が難しく、本杭工事、山留工事および土工事等の大型重機を使用する施工では、限られた作業スペースの中で安全性と施工効率を両立する必要がありました。そのため、工区ごとの作業手順や重機配置を綿密に計画し、効率的な施工を行いました。
また、隣接ホテルには国内外から多くの観光客や修学旅行生が訪れており、特に外国人観光客の往来が多い環境にありました。加えて、定期バスの運行や自転車レースの開催もあったことから、第三者災害の防止を目的として、工事標識を日本語・英語・中国語の3か国語表記とし、多言語による注意喚起を実施しました。
工事期間は約30か月に及び、その間に2回の冬季施工を経験しました。ニセコ特有の豪雪環境に対応しながら、施工体制や仮設設備を維持することが大きな課題であり、越冬前には、埋雪しても問題のない資材と、撤去・補強が必要な資材を選別し、積雪時の状況を想定した資材配置計画を策定しました。
また、スキー場営業期間中は周辺利用者への配慮も重要であったため、2か所にWEB監視カメラを設置し、遠隔で現場状況を常時確認するとともに、搬出入時間や車両動線の管理、観光客への安全対策を徹底しました。

令和7年3月(初回の冬)

令和8年2月(2回目の冬)
さらに、施主が求める仕上がりを関係者間で共有しやすくするため、製品サンプルを現場事務所内の会議室に展示し、質感や見え方を実際に確認できる環境を整えました。
加えて、棟内の客室1室をモックアップルームとして整備し、関係者からの意見を取り入れながら仕様を確認しました。実際の空間で完成イメージや仕上がりを共有することで、施主との認識の統一を図ることができ、その後の施工および製品供給を円滑に進めることができました。

モックアップ(イメージパース)

モックアップ(完成写真)
本工事における主な課題とその対応について
本工事において特に課題となったのは、初年度における地下部分躯体工事を年内に完了させるための工程管理でした。計画上、この範囲の躯体工事を年末までに進める必要がありましたが、初年度は例年より早い時期から降雪が始まり、養生管理、コンクリート打設管理および安全管理において、慎重な対応が求められました。
また、上部躯体工事と外壁工事を工区ごとに分けて進める必要があったため、足場計画、資材搬入計画および作業員動線を工程に合わせて細かく調整しました。特に降雪期においては、作業床や搬入路の除雪、凍結防止対策、コンクリート品質の確保等、通常期以上に多くの確認事項があり、一つ一つ対策を講じながら施工を進めました。
外壁仕上げについては、全景写真にも見られるように9色を用いたデザインが採用されており、施工順序の調整や色彩確認に特に苦慮しました。担当職員がすべての外壁パネルに個別マーキングを施し、一枚ずつ慎重に確認しながら施工を進めることで、設計意図を忠実に再現することができました。
また、スキーシーズン中には、まれにスキー利用者がコースを逸脱して現場周辺に接近する事例もあり、その際には迅速な安全対応が求められる場面もありました。

令和6年9月

令和6年12月末
関係者への感謝の言葉
四季を通じて気象条件が大きく変化するニセコの自然環境の中、長期間にわたる工事を無事完遂することができたのは、施主、設計者、協力会社の皆様をはじめ、関係者各位のご理解とご協力の賜物です。
特に、厳しい冬季施工や限られた敷地条件の中での施工にあたっては、多くの方々から多大なお力添えをいただきました。本工事に携わっていただいたすべての皆様に、心より感謝申し上げます。
また、本工事は配属された職員にとっても、多様な課題への対応を通じて施工管理技術と実務経験を深めることのできた貴重な機会となりました。今後の業務を遂行していくうえでの大きな財産になったものと確信しております。

